新年のご挨拶

January 07, 2014

新年おめでとうございます。
今年も「SHOOTING」をよろしくお願い致します。

さて、年末年始休暇に「『SUPERな写真家』レスリー・キー」を読みました。
彼の生い立ち、ユーミンへの憧れ等、知っている事も多々ありましたが、昨年、彼が逮捕された事件について、その逮捕時の状況から取り調べの様子まで、詳細に語られていました。



 
判型:B6変型
ページ数:180ページ
発売日:2013/09/26
定価:987円(税込)
出版:朝日出版社


芸術かポルノか。これは永遠のテーマです。
昨今、インターネットの普及で、エロ画像や猥褻な動画、児童ポルノなどがネットに氾濫しています。
そんな状況の中で、アートギャラリーの一角で男性モデルの性器が写った写真集を6冊販売したとして、レスリーやギャラリー関係者が逮捕されたのは、世間に対する見せしめと言うか、結論ありきの逮捕劇に見えます。
警察がわいせつと判断すれば、交渉や説明の余地はほぼない。この状況には危機感を感じざるを得ません。

そういえば最近、コンビニの成人向け雑誌コーナーがなくなったり、週刊誌からヌードグラビアページがなくなったり、いつの間にか、一般のメディアからヌード写真がどんどん減っています。
Facebookに上げていたヌード写真も、FB側の判断で(おそらく乳首が見えているから)自動的に削除されてしまいました。

直接的な関係はありませんが、昨年、政府が性急に成立させた「秘密保護法」についても、チェック機関があるとは言え、「知る権利」「報道の自由」を侵蝕される怖れがあります。

21世紀は、オープン、透明性が求められる時代だと思いますが、国の判断で勝手にものが言えなくなるのは、時代に逆行しています。
アート作品だけでなく、ものづくりの環境や市場が萎縮しないよう、「SHOOTING」も、オープンにどんどん発信していけるメディアでありたいと思います。
 

2014年1月7日
SHOOTING編集長 坂田大作

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宮原夢画写真展「散華 sange」、渡邉肇「文楽っ?人間・人形 映写展」、腰塚光晃プロデュース「THE KIMONO NEW LOOK『Elly & Oby』」。
今年前半、まだ1/3しか経っていないが、自分が観て気になったこの3つの個展について。

「散華」とは、仏を供養するために華を散布する儀式。池坊の家元で花について学び、作品を制作した宮原さん。
日本の伝統芸能である人形劇の人形浄瑠璃=文楽と、人形遣いの吉田簑助師(人間国宝)、桐竹勘十郎師の動きに焦点をあてた渡邉さん。
日本発信のファッションフォトを考えた場合、その源流となる「着物(プロダクト)から制作する」という発想で『Elly & Oby』を立ち上げた腰塚さん。
自分と世代が近い三氏の個展やプロデュースした仕事を俯瞰してみると、そこには「和の心」「日本文化」というキーワードが浮かんでくる。
ルーツというか、日本文化を意識するのは、ある種「必然的な流れ」かもしれない。
  
ファッションフォトの分野で言うと、日本では本当の意味でのハイファッションを撮るのは、モデル、服等、色々障壁があって、中々難しいのが現状です。
私がごちゃごちゃ言うよりも、腰塚さんから届いたメッセージをここに掲載しますので、読んでください。
 
 
そもそも自分はHI FASHIONを撮るために写真家になった。
それは、セレブやメジャーなブランド撮ることじゃなく、世界のどこにもない新しい女性像を見たことない写真で表現することだった。
日本にいる中で、真のHI FASHIONを撮る機会にはなかなか巡り会えず、その答えを10年以上ずっと模索してきました。
その答えが「着物」なんです。

江戸にさかのぼれば、万人が着物を来てそれこそ世界のどこにもないスタイルが沢山あったんです。花魁とか歌舞伎ものはその頂点にいたはずです。
なのに、日本人はそのほとんどを捨て、西洋に憧れ、一気に洋服に変えてしまった。
そして、多くにのファッションピープルはいまだにパリコレに憧れ、そこを頂点ということにしている。

本当は世界で一番最初にモードが生まれたのは、江戸初期に着物の柄を民衆が流行として追ったことで、パリのモードはそこから100年後なんです。
今シーズンのプラダは着物がテーマです。むしろ西洋の人が「日本の美」をフューチャーしているのに、日本人がそこに目を向けず、外に気が行き過ぎている。

昭和に入り、着物の着付けは大きくいえばひとつのスタイルに固定されています。本当はもっと自由で、気易く、かっこいいHI FASHIONのはずなのです。
だから、自分たちの着物ブランド『Elly & Oby』で江戸の続きをやって国内外に発信していきます。
そして、自分の撮る写真は、写真がなかった時代の美人画に代わるもので、自分とっての「HI FASHION」なんです。

腰塚光晃


THE KIMONO NEW LOOK「Elly & Oby」情報
http://shooting-mag.jp/news/event/00494.html

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伊島薫写真展「You are beautiful」と、玉川竜写真展「absolutely anonymous by Ryu Tamagawa」。先週この2つの展覧会を観た。

伊島さんの「You are beautiful」は、8000万画素の超高解像度デジタルバックIQ180で裸体を分割撮影。それを縦位置で繋げ、2.40m x 9.36mという巨大サイズの作品として展示。雑誌サイズや20〜30インチのPCモニタでは表現できない巨大かつ高精細な写真に圧倒された。


設営中のスナップ(伊島さんFacebookより)
  
  
玉川さんの作品は、全て一発撮り。モデルのポージングはある程度、演出していると思われるが、ロケでの光のあたる時間、場所、角度。モデルが吐き出す予測不可能なタバコの煙の形...。
伊島さんも玉川さんも沢山カットは撮っているかもしれないが、共通しているのは一発撮りという点。


(玉川さん展覧会作品から)                                          
     
伊島さんの写真も、圧倒されたのは単に大きいからではなく、瞳の奥の写り込み、吹き出物、脇のヘア、整っていない足の親指の爪...、ありのままの「リアルな体」だからだった。これがレタッチされた写真なら、「大きく伸ばされたキレイな写真」というだけで、それほど印象に残らなかったと思う。

現在、世の中に出回っている広告、雑誌、アーティスト写真は、多かれ少なかれほとんどレタッチされている。制作者側も見る側も、「キレイに見える整った写真」を「普通」に受け入れている。

デジタルカメラやレタッチソフトの進化によって、誰でも簡単に写真が撮れ、修正や合成ができる時代。作品に関してのポイントは「シャッターに集中」した「ノーレタッチ」又は「やりすぎない修正」にとどめた写真だと思う。

「感じた瞬間を切り取る」という写真を撮る行為、本来の役割に原点回帰していくのではないか。私個人は、部分ごとに彩度やトーンが調整された整った風景写真や、ツルツルで質感のないポートレイトよりは、リアルフォトに惹かれる。

「デジタルカメラ+インクジェットプリンタ」VS「銀塩フィルム+印画紙」と言うツール的な軸ではなく、(気持ちの問題も含めて)「リアル」にこだわるのかどうかが、これからの作品制作のポイントだと思う。

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新年のご挨拶

January 02, 2013

新年あけましておめでとうございます。

昨年は12月に衆議院選挙が行なわれるなど、慌ただしい年の暮れでした。

写真業界では、鋤田正義さん、操上和美さん、篠山紀信さんなどの巨匠の展覧会が続きました。
一方で、レスリー・キーさんを中心とする中堅も、目覚ましい活動を続けています。

機材面では、デジタル一眼レフやミラーレス一眼がさらに進化を遂げ、高画素、高感度化が続いています。
映像系では3Dブームが去り、4K以上の超高解像度の撮影機材、編集、モニタが注目を集めています。

ただいくら機材やソフトが発達しても、結局使いこなすのは人間です。
「SHOOTING」では、新しい機材やソフトの動向に注目しつつ、「表現」や「人」に焦点をあてていきます。

本年も「SHOOTING」をよろしくお願い申し上げます。


2013年1月2日
SHOOTING編集長 坂田大作


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宮本敬文さんが、4年間に渡り操上和美さんを追い続けたドキュメンタリー映画「The Moment. 写真家の欲望」を東京都写真美術館で観た。

70歳を超えても現役バリバリな操上さん。仕事関係者以外は、なかなかお会い出来ない写真家の素顔が垣間見れるという意味でも、貴重な映像だった。

宮本さんは、全篇デジタル一眼レフカメラで撮影されていて、引きの絵は美しい。特に北海道の雪原を疾走している2頭の馬を、操上さんが撮影しているシーンにグッときた。

でも映像美以上に、今回印象に残ったのは、操上さんの言葉。

「光の反射に自分も反射する」
「毎朝、窓を開けて空を見上げる時、自分の美意識が起動する」
「(北海道の)農家で終わるのではなく、写真家になれば、色々な場所に行けると思った」
「写真が好きだからではなく、写真家という職業を選んだ」等々。

「朝起きて空を見た時、それが雨でも曇りでも、その空が美しいと感じるから写真が撮れる。逆に言うと、何も感じなくなったら、シャッターはもう切れない」。
常に光を体で感受している写真家らしい言葉だと思う。

おそらく操上さんの事務所だと思うが、ランダムに配置されたランプが点滅し、そのボタンを押していくという、いわゆる「動体視力」を鍛えるための装置があって、それを操上さんが練習しているシーンが出てくる。写真家にとって、眼は命。年齢を重ねるなか、そういう努力をされていることにも敬服した。

一方、宮本さんのカメラワークもすごい。常に寄っている。これはもう操上さんの奥さんよりも近い間合いに入っていて(笑)、その言葉、仕草、目線、全てを汲み取ろうとしているかのよう。

一眼レフの浅いピントを活かしたボケ感が、全篇に渡って活かされている。顔から、手先の仕草に寄って、また顔に戻る。このピントの移動をピシャリと決めるのは、相当慣れていないと難しいだろうと思う。
(というか、宮本さんがフォローフォーカスで距離を合わせる練習をされているのを、以前から伺っていたので)。

編集は、「アクティブ・シネ・クラブ」でされたそうだが、宮本さんの事務所でも編集できる体制もある。

正直、「眠くなるかな」という予想は裏切られ、最後まで惹き付けられた映画だった。


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新年のご挨拶

January 02, 2012

新年明けましておめでとうございます。

昨年は東日本大震災を経験し、日本にとって辛く厳しい年になりました。
自分自身は昨年4月に出版社を退社。
6月に独立、7月に「SHOOTING」の創刊と、
2011年は、人生において忘れられない1年となりました。

SHOOTINGにおいては、これからも「表現」と「技術」を両輪として、
昨年以上にコンテンツを充実していくつもりです。

写真・映像業界は、デジタル技術の進歩が著しいですが、
テクノロジーを享受しつつ、
でも表現の本質を重視した記事作りをしていきます。

また1月には、デジタル画像から透明フィルムにインクジェットプリンタで出力し、
銀塩プリントができる「デジタルネガフィルム」が、ピクトリコより発売されます。

私もピクトリコ、写真家の永嶋勝美氏と協力し、この「DGSM(デジタル ゼラチン シルバー モノクローム)プリント」のガイドブックを制作しました。
このガイドブックは、冊数限定で製品に同梱されます。

これはデジタルと銀塩の融合であり、デジタルカメラの利便性、銀塩プリントのアーカイブ性という両方のメリットを活かした画期的な製品といえます。
SHOOTINGでもこの「デジタルネガフィルム」を販売致しますので、作品制作にご利用いただければ幸いです。

本年もよろしくお願い申し上げます。


2012年1月2日
坂田大作

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ジュリア・ロバーツがモデルを務める化粧品の広告が、イギリスの国会議員から「修正されていて非現実的」との指摘を受け、同国の広告基準局(ASA)から雑誌掲載を禁じられたこの問題。
これは日本の広告、雑誌業界にも共通する課題。

広告はもちろん、今やちょっとしたリーフレットもエディトリアルの小さなカットも、人肌に関しては、はほぼ100%レタッチされている。
人々はそれを当たり前のように受け止め、広告制作者や編集者、モデルやタレントなどの当事者やその事務所も、肌をツルツルにしたり、体のラインを細くするのが当然と言う意識になっている。

みなさんどう思いますか?
程度問題ではあるが、ただ最近の広告や雑誌は少しやり過ぎではないかと思う。

ヘアメイクをするように、デジタルレタッチをするのは悪いとは思わない。ただその人らしさまでレタッチで加工・演出していくのは度が過ぎる。アゴをレタッチで削るとか...。

人が年齢を重ねていく上で、自然にできたしわは、それ自体美しいものではないのか。リフトアップして、ツルツルにして神聖化していくと、返って痛々しくなってしまわないのか。
どこまでが適切で、どこからがやり過ぎなのか、それに答えはない。これは制作関係者だけではなく、見る側も含めて、美しさの本質について考え、意識していかないと中々変わっていかない難しい問題だと思う。

このままいくと、ほんとに全てCG(バーチャルキャラクター)になっちゃうかもよ。そうするとタレントもフォトグラファーもヘアメイクも仕事がなくなる(危)。

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「SHOOTING」を創刊して3週間あまり。この間、感じたのは圧倒的な「情報スピード」の違い。
15年以上、月刊の紙媒体を制作していると、体が「1ヵ月サイクル」ペースに馴染んでいるのも当たり前。またMOOKの制作に入ると、1冊作るのに3~4ヵ月かかる。
普段、Yahoo!や他社サイトを見ながら、随時更新されるWebの情報を享受した生活をする中で、改めて自分がWebサイトというメディアで情報を発信していくと、今までスポーツカーだと思っていたものが、実は自転車くらいのスピードだと気づいた。
紙とWebでは媒体が違うし、役割も違う。Webはひとそれぞれの環境で見られるので、パッケージで完結するものとは、こだわる部分が根本的に違う。
紙では「あと2ミリ右に配置して、この文字は2ポイント大きい方が...」とデザインの細部も気にしていたが、今は情報の質とスピードを優先している。いい悪いの問題ではない。何が求められているか、何を提供したいか、の問題だと思う。

例えば上田さんの「火山の島」の展覧会。6月24日に上田さん、桐島かれんさんのレンタルスタジオのオープニングに伺った際、この写真展の話をしたら、2日後に時間を作って取材に応じて頂いた。しかも翌日から展覧会前までNYに行かれるという日だ。原稿を書いて、NYの上田さんにチェックして頂き、Webデザイナーさん達とレイアウトを進める。
RING CUBE展覧会の初日、7月13日にインタビューを公開した。そこから2週間以上展覧会が続くので、このインタビューを読んでからでも、充分展覧会に間に合う。このスピード感が今は大事だと思う。またWebだけでなく、いいオリジナルプリントを見て欲しいという思いもある。

SHOOTINGは、ツイッターの@SHOOTING_MAG やFacebook www.facebook.com/SHOOTINGMAGAZINEと連動しているので、ほぼリアルタイムに情報を更新していける。これ以上、早い媒体はない。
そこで何を紹介していくかは「目利き力」が問われるし、それがアクセス数と直結するところもストレートで潔い。
一方、私はオリジナルプリントや印刷媒体も好き。保存性の高いメディアだけに、持っていたくなる価値、又は資料的価値があるものを作っていきたいとも思う。適材適所で使い分ければいい。その選択肢が広がった事をありがたい時代だと受け入れたい。

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写真、映像クリエイティブのハブとして
2011年7月、Web Magazine「SHOOTING」を創刊しました。
「COMMERCIAL PHOTO」という広告・写真専門雑誌の編集者として、長年紙メディアに携わっていましたが、今後はWebで情報を発信していきます。無数にあるWebサイトの中で、写真、映像クリエイティブにおいて、「SHOOTING」を定期的にチェックして頂けるようなメディアを目指します。また「SHOOTING」は、表現者の皆様と共に作り上げていくメディアでもあります。
専門誌でフォトビジネスに携わってきた経験を活かし、質の高い情報を提供し、写真、映像クリエイティブのハブ的な役割を担えればと考えています。ただし全方位的ではなく、少し偏ったハブになるかもしれません。

メディア・ニュートラルな活動を
「メディア・ニュートラル」という言葉は、自分の中のキーワードの一つです。Webは速報性、アーカイブ性に優れていますが、それだけをやっていくつもりはありません。プリント、印刷媒体、電子書籍、リアルイベント他、目的、企画に合わせて様々なメディアを効果的に選択、又はクロスさせていくことが今の時代です。Webを走らせつつ、ニュートラルな立場で、制作プロデュースやフォトディレクションの仕事も引き受けていきます。

最後に「SHOOTING」の構築、「株式会社ツナガリ」の立ち上げに尽力して頂いたクリエイターの方々、関係各社に心から感謝します。
「SHOOTINGセンスいい!」「誰が作っているの?」「私のWebサイトも相談にのって欲しい...」。そんな方がいらっしゃいましたら、いつでも info@shooting-mag.jpまで連絡いただければ、喜んでご紹介いたします。

2011年7月7日
SHOOTING編集長 坂田大作

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SERVICE

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EDITOR PROFILE

Daisaku Sakata

Web Magazine「SHOOTING」編集長。株式会社ツナガリ代表。もと月刊「COMMERCIAL PHOTO」編集長。 Editor、Producer、Photo Director。 フォトグラファー、ヘアメイクのマネージメントもしています。

twitter/SHOOTING_MAG
http://www.facebook.com/SHOOTINGMAGAZIN
http://www.tsunagari.co.jp/