冬にロンドンにいらしたことがある方ならご存知かもしれませんが、イギリスの冬は、寒くて暗くて長い! の三拍子揃っています。そして、ロンドンは北海道よりも緯度が高いこともあって、夜が長〜いです。一年で一番日が短い冬至の頃は、日の出は8時過ぎ、日没は15時台になります。感覚的には、ランチが終わって少し経つと、夕暮れのような感じになって、もうそろそろ仕事を終了してパブにでも行こうかな〜、って思って時計をチラッと見ると、まだ14時台だったり、という感じです。。。(苦笑)

とりわけ寒さが苦手な私には、煉瓦作りの街を吹き抜ける冷たい風が体に堪えます。加えて、どんよりとした暗くて長い夜は、気持ち的にもなかなかきついです。そのため私は、この時期は、意識的に美術館や観劇に行ったり、もしくは美味しいものを食べに行ったりと、生活を盛り上げよう! という努力をしています。(話はそれますが、やっぱり美味しい日本食が一番ホッとしますね)

そんな訳で、寒くて暗くて長いロンドンの冬は、アート鑑賞と暖かいミルクティーがおすすめです。幸いロンドンは、アートと人々の関係が近いように感じます。美術館や観劇も充実していますし、アートを生活の中に取り入れて、身近に楽しんでいる人々も多いように思います。

先日、ロンドン・アート・フェアというアートの展示会に行ってきました。
この展示会の特徴は、まさにフェアという名前の通り、アートを鑑賞するというよりは、アートを「買う」ための展示会です。毎年1度開かれるこのアート・フェアは、今年で25周年を迎えたそうです。創設当初から変わらず、エンジェル駅の近くのビジネス・デザイン・センターという場所で行なわれています。

今年も大盛況のようで、これまでで最大規模の131のギャラリーや出展者が集まったそうです。広々とした会場には、たくさんのブースが設営されて、様々なジャンルの色とりどりのアート作品がところ狭しと展示されていました。なかなかの見応えです。

展示されている作品は、基本的にすべて販売されています。著名な作家や歴史的価値のある高価な作品から、個人作家の比較的リーズナブルな作品まで、その幅の広さも魅力のひとつだと思います。ちなみに、今回のフェアで、最もリーズナブルな作品は、およそ100ポンド(約14,000円)ほどからで、最も高価な作品は、650,000ポンド(約9千3百万円)とのことでした。とは言っても、高価な作品が中心というわけではなく、個人の方が、比較的購入しやすい料金設定のものが多かったように思います。

アートを買うとなると、少し高尚な趣味という印象がありますが、ここロンドンでは、それがもう少し垣根が低いように思います。このアート・フェアも、その一例かもしれませんが、気軽にアートを買えちゃう、そんな雰囲気です。

かくいう私も数年前に、このフェアであるアート作品を購入し、アート・コレクターデビュー!?を無事に果たしました(笑)。全くそんなつもりでフェアに来たのではなかったのですが、たまたまある作品を気に入ってしまい、(雰囲気に流されて?)思わず、衝動買いをして、しまった! という感じです。個人的には、安い買物ではなかったので、別の意味で「(やって)しまった!」という感じはありましたが。。。
とは言え、それまでは、旅行に行った際に、動物の置物くらいしか買ったことがなかったので、アート作品購入という行為そのものがとても新鮮でした。

面白いもので、それまでは、アートというものを、もっぱら美術館やギャラリーで鑑賞するという立場だったのですが、それ以来、アートを購入する・所有するという感覚が目覚めました。それに伴い、以前に比べて、もう少しアートというものが身近に感じられるようになった気がします。

今年は1月16日〜20日まで、ロンドン・アート・フェアは開催されました。 この他にも、ロンドンには、アート系のフェアやギャラリーは、とても充実しています。是非、ロンドンにいらっしゃる機会がありましたら、チェックしてみてください。思わぬ素敵な出会いが待っているかもしれません。

London Art Fair
2013年1月16日〜20日
Business Design Centre
52 Upper Street, London N1 0QH
http://www.londonartfair.co.uk/

<ロンドンで開かれる主なアートフェア情報>
Kinetica Art Fair
2013年2月28日〜3月3日
http://www.kinetica-artfair.com/

Affordble Art Fair at Battersea
2013年3月7日〜10日
http://affordableartfair.com/battersea/

BADA Antiques & Fine Art Fair
2013年3月13日〜19日
http://www.bada-antiques-fair.co.uk/

Palace Art & Craft Fair
2013年5月17日〜19日
http://www.palaceartfair.co.uk/

Olympia International Fine Art & Antiques Fair
2013年6月6日〜16日
http://www.olympia-art-antiques.com/

Affordble Art Fair at Hampstead
2013年6月13日〜16日
http://affordableartfair.com/hampstead/

British Art Fair
2013年9月11日〜15日
http://www.britishartfair.co.uk/

Frieze London
2013年10月17日〜20日
http://friezelondon.com/


ロンドン・アート・フェアが開かれるビジネス・デザイン・センター。建物は、かつて畜産関係の施設として使われていた。イギリスでは、このように昔の建物を新しい用途に改築して使用することが多い。


パーテーションで区切られたたくさんのブース。ちょっと迷路のようで楽しい。


ダミアン・ハーストの作品を扱っているブース。オリジナルの作品ではなく、その印刷物やプリントなどを販売している。ちなみにがい骨の作品は、税込み9,910ポンド(約140万円)。


エリザベス女王のポートレート。ライト・アーティストのChris Levineの作品。気になるお値段は、税込み24,000ポンド(約340万円)。


アート・フェアということもあって、様々なジャンルの作品がまとめて観られる。クラッシックな絵画も人気。


絵画や写真などの平面物のみならず、立体のオブジェや彫刻なども充実している。