前回予告してたフォトエージェントのショートインタビューの予定を時間がかかってるので変更<僕は適当でいい加減な奴です。>します。

一言でフォトグラファーと言っても、フォトグラファーのジャンルは多種多業あります。雑誌、広告、ストック、報道、ドキュメンタリー、ライブ<音楽>、ウェディング、アート...、と挙げればきりがない程種類があります。そしてその中でも人、動物、静物等細分化すれば気が遠くなります。
そんな中で私が主にフィールドとしているのが雑誌、広告の分野。前回は海外雑誌について書きましたので今回は海外での広告写真について。

欧米で広告の撮影を行なうには、撮影前に沢山の書類のやり取りがあります。その内容はギャランティー、メディア、期間。ここ迄は日本でもあるのかな? しかし、欧米での要項では使用する国。というのも存在します。日本の場合、大きな企業の広告でも基本国内専用に撮影する事が多いと思います。
欧米でも国内用撮影も勿論ありますが、グローバルで展開される広告も多く制作される事が日本よりも圧倒的に多くある。
ワールドワイド、アメリカは北アメリカ、中南米展開、ヨーロッパはEMEA<ヨーロッパ、中東及びアフリカそれらの国>等、色んな国の使用形態がある。そんなメディア、法律の要項を含めた書類を毎回作成するのは、外国人として英語を母国語としない人間には大変難しい。<多分、普通に外国人でも難しいです。。。>

広告案件はフォトグラファーの作風や作品を求めて発注が来ます。しかし、撮影のコンファームをもらう迄のプロセスで問題が発生する事が、上記の問題であります。だから私は海外で広告の撮影をするには、エージェントは"必須"であると思います。

エージェントがいるから広告案件が発生するのではなく、エージェントがいるから撮影迄スムーズに運べるのです。基本的にフォトグラファーなんてのはアホです。お金の話は苦手だからいくらでも良い、写真撮れたらそれで良いと言っちゃってるアフォトグラファーは多いのではないでしょうか?
私なんてそう考えればアホすぎてどうしようもないどアフォトグラファー。私一人なら500円でグローバルキャンペーンの案件を受けてしまいかねない。。。 そういったアホなフォトグラファーの代わりに書類上の難しいお話や金銭面等、嫌なお話をしてくれるのがエージェントなのです。<多分プロスポーツ選手も同じだと思うけど。>

次に撮影のコンファームをもらうと、時差のある色んな場所にいる関係者と国際電話でカンファレンスコール。これが辛い。電話越しに全員のそれぞれ違った訛りのある英語聞き取るのが大変です。。。 そこでもエージェントが助けてくれたり、あとで補足してくれる事があります。

ギャランティーに関しては、欧米、特にアメリカのギャラは日本のそれより多いんじゃない? と思ってらっしゃる方多いと思います。そこは人それぞれなので何とも言えないですが、フォトグラファー個人個人がDAYRATEを持っています。其れの大小の他に先程述べた使用メディア、そして使用される国の多さに比例して膨らみます。その使用される国の多さに日本とのギャランティーの差が出て来るのでは? と思います。

撮影オファーされる大きな理由である作品・作風はとても大事です。私のこれ迄の経験では、撮影オファーがくる時にはだいたい自分の写真で構成された企画書が送られて来て「こんなのをしたい」と、とっても分かりやすい場合が多い。
勿論中には他人の写真が混じっている場合もありますが、それはご愛嬌です。しかしそれが全部他人の写真である場合は断る事があります。その人ブッキングしたら良いんじゃない? って思うからです。ま、それはさておき、その作品・作風がはっきりしなかったり、作風はないが技術はあるフォトグラファーがいます。が、海外ではそんなフォトグラファーは生き残れる可能性が限りなく少なくなります。

特にNYの話ですが、基本的に人は会ってくれません。ブックやウェブのやり取りで決まってしまいます。自分の写真を一々説明する機会もない。なので、作風を強く持っていないとほとんどは一切目にとまらないし、永遠に仕事が発生しない。時に写真を美味い下手で表現する人がいますが、プロでやってる限り美味くて当たり前、技術持ってて当たり前。だが、そこに作風が備わってなかったらアートディレクターに写真撮らせた方が、上がりが絶対に良くなると私は思います。

正直、私はラッキーです。自分のキャリアを始めてすぐにフォトグラファーとして目標にしていた企業のグローバル広告の撮影するチャンスを戴きました。その撮影は今の自分の考え方等に大きな自信を植え付けたと思います。
独立してすぐに自分の夢見た案件を行なうにあたって、大きなプレッシャーがありました。経験ほとんどなく広告撮影したこともない。沢山の人間が関わり大量の時間を費やし、多くの制作費がかかる大規模な撮影。正直何をしていいのか分からなくなって一々アートディレクター(アメリカ人)にこれでいい? ねえ、これでいい? なんて言いながら撮影してたら、いきなりそのアートディレクターがキレて、<あなたの写真を見たからあなたをブッキングした。あなたがあなたの思う様に何時もと同じ様にやればいい!それだけ!> と言われて目が覚めました。

アホみたいに広告だから豪華にライティング組もうと使っていただけのほとんど必要もないライト全部取り除き、何時も自分がない金絞り出して撮ってたように撮り始めたら、Macに転送される写真を見ながらそのAD <ムネタカ!スゴい!素晴らしい!> と言ってくれました。その後3シーズン連続でその企業の広告を担当させてもらいました。

撮影規模の大小に惑わされる事なく自分をブッキングしてくれた人間を信じて、いつも通りに自分の持つ作風を限界に落とし込めたり、企画のアイデアに「プラスする」のが指名されたフォトグラファーの仕事なんだと、キレられた一瞬で学習しました。

と、広告案件は色んな物が関わります。海外雑誌は日本でも出来ますが、海外広告は日本からでは出来ない。よっぽどでない限り日本のフォトグラファーを飛行機、ホテル代出してまで欧米に呼ぶ事はないでしょう。欧米間ではそれがありますが。。。 海外広告の仕事をするのであれば欧米にいなければならない。多分、私がNYにいる理由の一つもそこにあると思います。

またまたNY地下鉄の落書きです。最近、近所の駅でこれを見つけたんですが、これは新しい! これは完成ですが実は毎日少しずつ書き足されていっていました。色んな奴がいますね。


オランダで展開されたビジュアル。


イタリアで展開されたビジュアル。


ドイツで展開されたビジュアル。


NYの落書き