- 2011.07.11
プロフォト株式会社河原克浩
スチルの撮影業界ではスタンダードなプロフォトの照明機材。
大光量を要求しないコンパクトな撮影が増える中、
今後、どのような製品展開をしていくのか、
代表取締役の河原克浩さんに話を聞いた。
まずプロフォトを法人化された理由から教えて下さい。
プロフォト株式会社として2005年に創業して6年になります。元々プロフォトは、長い間ディストリビューターを通して販売してきました。わざわざ現地法人を設立した理由は、本社社長アンダース・ヘデバークの方針です。最初ドイツに海外法人を作ったのですが、自社でマーケティングをすることで、ドイツ市場ですごく伸びたんですね。その成功例があって主要なマーケットに対しては、現地法人化してさらにブランディングも自分達でコントロールしたい、という思いがあり、日本、フランス、UKと続き、中国は現地事務所として開いています。アメリカに関してはもともと高いシェアを誇るマックグループとパートナー契約を結んでいます。
基本的には「マーケティングに力を入れて、ブランディングをしっかりやり直す」ということが一番の目的です。もう一つ、プロフォトは長い間レンタルスタジオ、レンタルショップを顧客として伸びてきたのですが、そこだけでは広がりがないので、フリーランスのフォトグラファーや企業にも顧客を広げていくのが目的です。
フリーのフォトグラファーに直接売られるのですか。
プロフォトとしては、直販(直接販売)をしないでディーラーさんと一緒にやっていく、という方針が明確にあります。ディーラーさんを通して、フリーの方や企業に対して、そのチャンネルで販売していける製品を拡充していきます。
2008年にAirという無線のデバイス、2009年にモノブロックストロボのD1を出して、フリーの方も使っていただける製品を揃えています。幸い市場のニーズにミートして、D1は世界的に伸びています。
レンタルスタジオやレンタルショップにはハイエンドのPro-7、Pro-8a、ロケーションにおいてはPro-7b、B2、B3、コマーシャルはD4 Air、SWP(Social Wedding&Portrait)にはモノブロックのD1で対応。Airシステムに関しては全ゾーンに投入しています。
特徴で言うと7や8は2口で、チャージスピードと閃光速度、その2点を最優先した設計をしています。D4は4口でも色温度を安定させ、スチルライフ、製品撮影にも充分対応可能な仕様となっています。D1はコンパクトさとコストパフォーマンスを意識した製品です。
プロシューマー向けの製品というのはまだ出していませんが、元々の強みであるファッションフォトやレンタルマーケットから、プロシューマー寄りにラインナップを広げてきました。
- 左からD1 500 Air、ProTungsten、ProDaylight&ballast
日本法人として、これからどのようなマーケットに力を注がれるのでしょうか。
レンタルスタジオ、レンタルショップのマーケットは我々のビジネスの基礎なので、現在の景気の状況はありますが、しっかり守っていきたい。ただ現在、力を入れつつあるのがコマーシャル(企業)とSWPのマーケットです。「SWP=写真館」というわけではなく、フリーランスのフォトグラファーを強く意識しています。
1〜2灯の小型照明機材を自分で所有しようという人が増えている気がします。
これは我々自身が驚いているところです。今までは元々Proシリーズユーザーの買い替え、買い足しが中心だったものが、D1に関してはコストパフォーマンス、そしてリフレクター等のアクセサリーが共用できることもあり、国産メーカーからの乗り換え、フリーランスの新規ユーザーの購入が増えています。
実は最近、価格の見直しをしました。D1 250Ws(Airなし)であれば、定価で98,000円(税別)です。キットでも20万円からありますし、セール期間であれば、さらにお得(笑)。そういう意味では価格も普及の大きな力になっていると思います。
下位機種でも上位機種の信頼性やブランド力がバックボーンになっているのが大きいですね。
クラスによって全然違う製品を作るのではなく、車で言えば同じスウェーデンのボルボ的かなと思っています。ボルボって、どのクラスでも安全性だけは譲らないというように...。普通は高い車の方がより安全性を高めるものですが、小さい車でも安全性は重視していて、あとは大きさや排気量の違いだと。
プロフォトもどのクラスでも光質や配光に妥協しないという設計思想がありますし、Airシステムは上から下まで全部に用意しており機能をクラス分けしていません。Pro-8のような115万円の製品と9万円台のD1でアクセサリーが共用できるのもその一つです。そういう意味では、ユーザーの仕事のスケールアップに応じて、製品をアップグレードしていきやすいのではないでしょうか。
ジェネレーターは、光を出す上ではあくまでも裏方で、どういう光を作るのか、それに応えるにはアクセサリーの豊富さが重要になってきます。そういう意味では今後、リフレクター等のアクセサリーについての啓蒙活動も行なっていきたいと思います。
- 左からD4 Air、Pro-8a
コマーシャルフォトやMV、ファッションにおいて、デジタル一眼レフカメラを使ったムービー撮影の仕事が増えてきています。
弊社でもPro Tungsten、Pro Daylight(HMI)と言った定常光の製品を出しています。プロフォトはビデオマーケットに関しては後発組です。でもスチルフォトグラファーがムービーの領域に打って出られるのと同じタイミングだと思うので、そういう意味では後発とは思っていません。
外ロケの大光量というよりは屋内使用という設定で、最近ProDaylight 800 Airを発売しました。次は200wとかそのあたりを出して、その次にミディアムサイズかな。そのあたりなら人物でも商品撮影でも使いやすいと思います。
宣伝っぽくなりますが(笑)、HMIもタングステンも冷却システムには力を入れています。複数ある温度センサーに対応して、冷却ファンが24段階に可変して、強制冷却します。それによって俯瞰でも下からでも、ポジションの制約を受けないで自由にアングルが決められます。
演色性が優れているというのが設計の第一優先ですが、その上で共有のアクセサリーを使って頂いて、スチルの感覚でムービーと両方を撮影して頂く、というのが我々の希望です。今後は全てのマーケットゾーンで、ムービー対応ということを意識していきます。
河原克浩 プロフォト株式会社
代表取締役
1964年兵庫県尼崎市生まれ。神戸大学工学部生産機械工学科卒業後、TOTOへ入社。エンジニアとして自動水栓やウォッシュレットなどの製品開 発に携わる。1997年渡米。Claremont Graduate UniversityでMBA取得。2000年にTOTOを退社、帰国。IT系ベンチャー企業、Apple Japanを経て、2003年に日本シイベルヘグナー(現DKSH)へ。同社取り扱いブランドの一つとしてProfotoのマーケティングを担当。 2005年同社退社。SwedenのProfoto ABの日本法人、プロフォト(株)の立ち上げに携わり、2009年6月から現職。一男三女の父。
プロフォト株式会社
〒104-0042 東京都中央区入船2-10-8 オーク入船ビル6階
TEL: 03-3206-1861
http://www.profoto.jp
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