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Flower artist:Azuma Makoto Hair:Dai Michishita(FEMME) Make:Ken Nakano ST:Toshio Takeda(MILD)

まず今回のビジュアルコンセプトから教えて下さい。

TAKAKI_KUMADA氏

お話を頂いた時に、「ヌードでいきたい」というイメージは当初からあったのですが、坂田さんからスキントーン以外に色味が欲しいという提案がありました。
ただ、服に色を持たせてファッション性を重視すると、時代が出てしまう。自分としては、「時代性を感じさせず、なおかつ色彩は感じる」、ということをポイントに、バックグラウンドとかプロップとか、背景で何か表現できないかなと考えていました。
そういう意味での「色彩=東さんとのコラボ」が、いいのではと思いました。東さんが作る花は強いので、純粋にコラボレーションしてみたかった、ということもあります。

フラワーアーティストの東信さんとは、以前に仕事をされたことがあったのですか。

何度か雑誌の企画等でご一緒したことがあります。ただ、もう少し自由度のある事を一緒にやってみたいと思っていたので、今回のお話を相談したところ、快諾して頂きました。

現在KUMADAさんが使っているデジタルバックは何ですか。

「フェーズワンP65+」と「リーフ・アプタス75s」です。それをハッセルボディに付けて、使い分けています。

初めて最新型のリーフ・クレドを使って頂きましたが、まずボディまわりの印象から教えて下さい。

どうだったかな〜(笑)。今のカメラが使い慣れているということもあり、そこと比較してしまうと、グリップの感じがまだ少し馴染めなかったかな。
ただし、今使っているハッセルボディと比べて、フォーカスが合わせづらいとか、ファインダーが見にくいとか、そういう事はなかったですね。

海外ロケに出ていたこともあり、カメラ自体は撮影前日に受け取ったわけですが、使い方がわからないとか、そういう違和感もなく直感的に操作できたので、わかりやすかったです。結果的には「使用感がいい」という事でしょうね。

フォトグラファーにとっては、シャッターを押した時の感覚が一番体に伝わるんですね。「撮ったぞ!」っていう。そこが普段使っているカメラに比べると、「シャカーン」って感じで最初は「軽いな」って、思ったんです。よく言えば軽快。 ただ現場に来られていたメーカーや販売代理店の担当者の方によると、「シャッターが重たいと、振動によってブレやすい。シャッターを軽くすることで、ブレ防止や耐久性の向上に繋げています」というお話を聞いて、納得しました。 この撮影の後、自分のカメラのシャッターを切ったら、「ガシャン」という、バネの重みを感じましたからね。

軽く、軽快に、扱いやすく、というのが、今のトレンドかもしれないですね。

そうかもしれません。アップデートを細かく繰り返しているカメラなんだなあという気はしました。カスタムボタンが追加されたり...。 現場の声を反映して作っているところに、メーカーの努力を感じましたね。ボディ自体も、まだまだ進化していくんだろうなあという印象を受けました。

レンズはどうでしょうか。

シュナイダーのレンズはキレがいいですね。もちろんCCDの性能やソフトのディベロップ含めての画質ですので、ワンシチュエーションで判断するのは難しいところではありますが。
現状、Vマウント、Mマウント、Hマウントとか色々あるじゃないですか。マウントはできれば一本化してほしい(笑)。CCDやCMOSも、将来的にはメーカーの垣根を超えて、何種類かにサイズを統一してくれたらいいですよね。

普段はフェーズワンとリーフ・アプタスを、どのように使い分けているんですか。

フェーズワンP65+は、ビルボードや大きな広告になる撮影に使い、雑誌とかワークフロー的にある程度スピードが要求されるようなものは3300万画素のアプタス75sを使っています。
じゃあ実際75sで広告に使えないかと言うと、使えるんですけど(笑)。逆になぜP65+を使うのかと言うと、フェーズにはフェーズの良さがあって、自分の中ではフィルムを使い分けている感覚です。75sとP65+では、あと処理で作る際の色の出具合が違うんです。個人的な感覚で言うと、P65+で撮った方が生っぽくて、フィルムっぽい。

今回のリーフ・クレドは、どんな印象ですか。

お借りしたのが6000万画のCredo60だったわけですが、画素数が多い割に、自分のペースでどんどんシャッターが切れたし、今までのフェーズでもリーフでもない、「最新型のカメラが出たんだな」という印象です。キャッシュも増えていて全体に速いし、軽快で扱いやすかったです。 「新しい機材はハードとソフト、両面で進化している」というのを、実感しました。色々な事が絶対的に良くなっているので、買い替えていくべきですね。コストはかかるでしょうけど(笑)。

撮影環境としては、よくなりますね。

機材というのは、実はフォトグラファーだけの話ではないんです。新しい機材を導入して撮影環境がよくなることは、現場の人全員に対してのケアでもあるんです。ノンストレスになって、大事な部分に集中できますから。

今、ハッセルボディユーザーの買い替え速度が落ちているとすれば、それはデジタルバックでもレンズでもなく、カメラボディがポイントだと思うんです。
ボディが、「圧倒的にこれが一番だね!」となった時に、買い替えが一気に進むんじゃないかな。デジタル一眼レフユーザーも、キヤノン、ニコンのボディが熟成されてきている中で、中判デジタルに移行するポイントは、画素数よりもボディのような気がします。
デジタルバックは、解像度は充分に事足るレベルに到達しているからこそ、ボディの使いやすさという、人の手が触れる部分に重点が移ってきたとも言えますね。

このビジュアルは、かなりのサイド光で撮影していて、コントラストがついているわけですが、影の部分の落ち方やグラデーションなど、色味の印象はどうですか。

最終的にはPhotoshop上でのレタッチの話になるのですが、撮影段階で階調を豊富に含んでいるので、「データに粘りがある」と言うのでしょうか。だからこそ、後処理もしやすかったです。フィルムでいうラチチュードが広い印象はあります。

肌のトーンはどうですか。

う〜ん、わからないです(笑)。逆に言うと、今までのデジタルバックと違和感なく使えていると言うこと。ヘンなノイズが乗ることもないし、一度使っただけでも75sよりも直感的にいいって、感じています。
比較したわけではないですが、一眼レフなら中間からシャドウにかけて潰れていきそうなところでも、スキントーンのデータが残っていたりするので、アンダーに強い印象を持ちました。粘ってくれる方が、プリント時のチョイスが広がるというか、やれる事が広がりますからね。

キャプチャーワンについてはどうですか。

ディベロップはいつもCapture Oneで行なっています。ノーマル現像をして、そこから詰めていきます。長く使っているソフトだし、もともと慣れていて違和感がないので、撮影時、撮影後のワークフローはいつも通りというか、スムーズでした。

フィルム時代は、35mm、中判、4×5、8×10、ポジ、ネガなどの選択肢がありましたが、今はプロでも、デジタル一眼レフタイプのカメラだけで仕事をしている人は多いです。

そうですね。一眼レフタイプをメインに使っている人は多いですよね。理由は色々あるし、その人のテイスト次第だから一概に否定はしませんが、敢えて簡単に「画質」という言葉で表現するならば、圧倒的に違うんですよ。それをわかった上で、機動性含め35mmをチョイスしているのであればいいのですが、なぜコマーシャル業界のフォトグラファーが中判デジタルをチョイスしているのか、レンタルでもいいから使ってみてほしいですね。

あと僕のように、現在中判デジタルを使っている人が、リーフ・クレドやIQ(フェーズワン)等の最新型への買い替えを考えた場合、ボディの選択肢が現状一つなんですよね。そういう意味では、カメラをさらに熟成させてくれると嬉しいです。仕事で使うとなると、必ずサブカメラが必要なので「2台セットお徳割引」をしてもらえると、購入するハードルは下がると思います(笑)。よろしくお願いします。






メイキング

  •  ▲左/花を生けた大型のボードを4枚セットしている。ライトは、サイドからのボックス光。
    右/ヌードという事もあり、また余計な光が反射しないようセット周囲を囲む。
  •  ▲左/フラワーアーティスト東 信さん制作の花。テーマは「エキゾチック」。
    当初は赤い花だけで構成しようと思ったが、アクセントにゴールドやグリーン系も入れた。完成写真でもポイントとして効いている。
    右/1カットは、天井からの真俯瞰で撮影。
  •  ▲左/花だけでテストシュート。
    右/撮影のために準備したシュナイダーのレンズ群。
  •  ▲左/モデルが入った段階でヘアメイクの最終調整。
    右/スタッフで写真をチェック。俯瞰撮影中は、KUMADAさんがモニタを見られないため、
    ある程度撮影した段階で降りてきて、写真を見ながら打ち合わせをする。
  •  ▲左/寄りカットの撮影風景。手持ちでアングルを探りながら撮影。
    右/今回使用したCredo60(6000万画素)。
    PHASE ONE(マミヤ)645DFボディに、シュナイダーの80mm f2.8 LS Dを使用。
 

Leaf新型デジタルバック Credoシリーズ





●主な特長
・3.2インチ115万画素レチナタイプ・タッチスクリーン搭載
・新設計のパワフルな専用プロセッサー。
・FireWire 800 とUSB3.0 での高速転送。
・スタンドアロン時の効果的な撮影フローを実現する、正確にピント調整可能な背面モニターでの高解像度ライブビュー機能
・Credo 80(8000万画素)、Credo 60(6000万画素)、Credo 40(4000万画素)の3機種で構成。
・Leaf CredoはMamiya645DFと、シュナイダー製リーフシャッターレンズの組み合わせで1/1600秒までストロボ同調可能。

製品情報URL http://www.fotolusio.jp/business/phaseone/index.html"