- 2013.05.07
Photographer舞山秀一
舞山秀一さんはポートレートを中心に、
広告や雑誌、CDジャケット、写真集など、数多くの媒体で活躍するフォトグラファー。
仕事の内容に応じ、積極的に中判デジタルも活用している。
舞山さんにとって中判デジタルとはいったいどんなカメラなのか、その魅力を語ってもらった。
いずれもフェーズワンP45+で撮影。こちらの撮影風景は後半で。
artist:SHANTI Hair&Make:Makoto Tanikawa(vikini) ST:Naomi Yoshida(AVGVST)
中判デジタルを利用するようになったのはどのくらい前からですか?
8年ほど前からです。最初はテザリング撮影しかできないリーフvaleo 22 Wiをレンタルで使ったんですが、最終的にはCFカードを使った撮影が可能なリーフAptus 54sを購入しました。現在はフェーズワンP45+を主に使っています。それまではすべてフィルムでした。
中判デジタルを利用するようになったきっかけは何だったんですか?
- 舞山秀一氏
クライアントからデジタルでの要望が増えていく中、逆にその時点で、私の中では35mmのカメラで満足のいくデジタルカメラがなかったというのが、中判デジタルを選んだ一番の理由です。そしてフィルムで撮っているような、アナログ的な感覚を引き継ぎながらデジタルに移行したかったというのもあります。
もともと、カメラはハッセルの503CWを使っていて、レンズもかなりの数を持っていました。このカメラとレンズをそのまま利用できるデジタルカメラとしてデジタルバックを購入した格好です。
ただし、いきなりこれを機にデジタルに乗り換えたわけではなくて、ずいぶん長くフィルムと平行して撮り続けていました。完全にデジタルになったのはほんの数年前からです。
最初にリーフを購入した理由は?
中判デジタルを使い始めた当初、フェーズワンのデジタルバックはすごくシャープネスが強い印象でした。高精細、高密度なんですが、少しカリカリしている感じがして。対して、リーフはどちらかというと甘めでゆるい。ポジとネガで言えば、リーフはカラーネガのような仕上がりでした。そのゆるい感じがフィルムライクでいいかなと思ったんですよね。単純にリーフとフェーズワンで撮った写真を比較してみて、アナログな自分が素直に使ってみようかなと思えたのがリーフのほうだったんです。
そこからP45+へ移行していくんですね。
P45+への移行はさまざまな理由があります。私の場合、写真を大きく扱う広告の撮影も多く、それを考えた場合にP45+程度のより大きな画素数のカメラが必要でした。そして、何と言ってもP45からP45+になって過去に感じていたようなシャープネスによる強い違和感がなくなったんです。よりリーフ寄りになったというか。ここも購入の動機になりました。
あと、Aptus 54はCFカードの抜き差しが電源を切らないと行えないのですが、P45+はその必要がなかった。よりスムーズにカードの入れ替えができるんです。私は基本的にパソコンとテザリングして撮影を行うことが少ない。大抵がカードで撮り切ってから、パソコンにデータを転送し、みんなで画像を確認します。P45+はこの作業が格段に行いやすかった。これも大きな理由のひとつです。
現在では35mmのデジタルカメラでもずいぶん高解像度に撮影が行えるようになってきました。
そうですね。昔とは違います。現在は、雑誌の表紙などは機動力のある35mmのデジタル一眼を、大きな広告の撮影などでは中判デジタルを、というふうに使い分けることが多いです。ただし、中判デジタルは階調が繊細でゆとりがあるし、ボケ味も美しい。小さく扱う場合にもやっぱりきれいですよ(笑)。
これは車と少し似ているかもしれません。1300ccの車と3600ccの車では、高速道路で出せるスピードは同じでも、スピードを上げる瞬間だとか、ブレーキをかけるときなどに違いが出ます。パワーに余裕がある。中判デジタルもそれに近い印象があります。大伸ばしに耐えうるだけがこのカメラの特徴ではないです。
改めて中判デジタルの魅力はどこにありますか?
もちろん階調やボケ味など画質に最大の魅力がありますが、それだけでなくカメラを使う際の身構える感覚も、中判デジタルならではだと思います。35mmのデジタル一眼は、画像処理などでカメラ側のサポートがあるから、軽快にどんどん撮れますし、その機動性から"とりあえず撮ってしまう"ということも可能です。しかし、この"とりあえず"が中判デジタルではなくなりますね。
中判デジタルは撮る人の技術や裁量がそのまま写真に反映されます。何に焦点を合わせようか、どんな明るさで撮ろうか、どんな光で撮ろうか...よく考えて撮らないと応えてくれない。まるで自分が試されているかのように、写真にそれが表れます。被写体との対峙の仕方が35mmのデジタル一眼とはちょっと違うんですよね。単にきれいな写真が撮りたいだけならば、逆に中判デジタルは必要ないのかもしれません。むしろ、このカメラは自分の頭で描いた世界をきちんと表現したい場面で使うのに向いているのかもしれないです。
今後のデジタル中判に期待することは何かありますか?
カメラボディとレンズの性能でしょうか。カメラボディは選択肢が少なすぎますし、ピントの山がきちんと見えるようなファインダーもほしい。現在のカメラボディは、オートフォーカスで撮ることを前提にしているような感じがします。スタジオで絞り込んで撮るならば、これで構いませんが、開放にして屋外で撮るような場面では、ピントの山を見ながら手元できちんとフォーカスできたほうが撮影は行いやすいです。 デジタルバックに関しては、センサーサイズをもう少し統一してほしいです(笑)。いろいろ技術的な問題があるのでしょうが、センサーサイズがばらけることで、レンズの画角が変わってしまうのがちょっと不便ですね。
舞山秀一 Photographer
1962年福岡県福岡市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。株式会社スタジオエビス入社。同年、半沢克夫氏に師事。1986年独立。1988年第22回APA展奨励賞受賞。ポートレートを中心に、広告、雑誌等で活躍中。写真集に「ALIVE」「PEOPLE」「Garden1」「die Stadt von engels」(amazonにて購入可能)。
http://www.maiyama.net
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