- 2012.05.10
特集JAPANESE HAIR BEAUTY SHOOTING
広告や雑誌の仕事で活躍するメンバーが「和髪ビューティ」の撮り下ろしを敢行。
またイラストレーターの牧かほりさんが描き下ろしたイラストと融合するという異色の組み合わせも実現。
制作メンバーに集まってもらい、作品のコンセプトを聞いた。
Photographer:佐藤博信
Hair:TETSU(SEKIKAWA OFFICE)
Make:MINA(SIGNO)
Illustrator:牧 かほり
進行:坂田大作(SHOOTING編集部)
まずこういった作品撮りをしようと思ったきっかけから教えてください。
- ▲ヘアメイク中のTETSUさんとMINAさん。モデルと絵を見ながら、現場でヘアメイクを詰めていった。
佐藤:最初は、ある撮影現場の合間に、TETSUさんと話をしたのがきっかけです。
TETSU:そうですね。佐藤さんやMINAさんと一緒の現場で仕事をしていて、「最近馬のたてがみで作品を作っている」という話をしていたんです。その中で、何となくノリで「日本髪のビューティとかやりたいよね」みたいな話が出て、「それ、面白そうですよね!」って、半分冗談っぽく話していたんです。それで牧さんも紹介してもらって、「じゃあ、やろう!」と。
佐藤:そういう流れでしたね。
広告でも雑誌でも日本髪を作る仕事って、ほとんどないですよね。
- ▲牧さんが描いたイラストのサイズは 1300mm × 1300mm。位置を移動させ、モデルとのベストなバランスを探りながら撮影。
佐藤:そうなんです。ましてやそれでビューティの撮影なんて、まずないです。そこで新しい表現を試してみたかった。僕はもともと黒の世界観とか、和髪の黒とかが好きだったんです。そこでかほりちゃんの絵が「パッ」と浮かんで、それをミックスさせたら面白い作品が生まれるんじゃないかと。
牧 :「何か一緒にやれればいいね」という話は以前からしていました。
仕事では、こういうテイストの絵は描かないので新鮮でした。普段は最初に手で描いて、それをスキャンしてデジタル仕上げ、みたいな感じなんですね。でもお話頂いた時に「人物の背景だったらすごく大きく描かなきゃ」という意識がありました。
まずうちの事務所のエレベーターで運べる最大のパネルを作ってもらって、その大きさで水張りして描いています。こういう機会でもないと、こんな大きな絵は描かないので、それが楽しかったですね。
最初はこんなダイナミックな感じにする気はなかったんですけど(笑)、大きいとキャンバスと格闘する感じになっちゃう。みんなの意見を含めて「和に転びすぎなければいいなあ」というのもあって、ポップな色を使ってみたり、形を切ってマスキングしたり、少しコンテンポラリーな仕上がりをイメージしました。
佐藤:かほりちゃんのアトリエが一杯になってたもんね(笑)。
牧:一杯になりましたね。あとベランダも。部屋を出る時に言われそうなくらい汚れがついて(笑)。
絵柄は抽象的なテイストです。
佐藤:撮影現場でも加筆していたよね。
牧:そうですね。
TETSU:髪の上に伸びていく線が利いているだよね〜。あとピンクのお花をつけたようなテンションもいい。
佐藤:これ、移動していくんだよね(笑)。
牧:スプレー糊で貼っていたので、効果的な所に動かせましたね。
この絵の世界観に対して、髪やメイクをどのようにしようと思われたのですか。
MINA:現場主義で(笑)。
TETSU:モデルの顔によってもシルエットが変わってくるし、僕は今回モデルをしてくれたjunちゃんとは初対面だったので、彼女と絵から受けるインスピレーションの流れで髪を作っていきました。
MINA:私はさっきみんなが言っていたように、あまり和に転び過ぎないようなテイストでメイクを考えていました。和髪のビューティだけれども、メイクはポップさを感じられたらいいなあと思っていたので、ラインアート的な、60年代っぽくまつ毛を描いてみたり、目を大きく強調する日本のマンガタッチからからインスピレーションを受けたような作り方をしました。
あと、かほりさんの絵を見て、ネオン、蛍光色とか「和」とは真逆な色を持ってきたかったんですよね。
TETSU:モデルが日本人だし、黒髪も日本的なものなので、あまりクラシックに振るとベタな「和の世界」になっちゃう。
MINA:モデルにとっては裸ですけど、このスタイルでオートクチュールのドレスを着ても似合うような、そんなイメージです。
TETSU:そうだね。
MINA:「着物じゃなくてもいい」みたいな。
牧:モデルさんが変わっていくのを見ていて、私も現場で続きをどんどん描きたくなりました。
作品は「人物」と「絵」が対になっています。
TETSU:後から写真を見直していく中で、人物と絵の組合せは自然に決まっていきました。
牧:迷わないんですか?
TETSU:いいのはたくさんあっても、「極上の組合せ」って言うんですか。大吟醸みたいに上澄みだけを使って後は捨てちゃう。贅沢な選び方(笑)。
牧:なるほど〜(笑)。潔いですね。
TETSU:そこで妥協するくらいなら、また作ればいいじゃない。
佐藤:対比することによって、モダンさを引き立たせたかった、というのはありますね。かほりちゃんの絵は色があるので、和髪モデルと対比することでお互いに活きてくると思いました。
牧:ちなみに縦で繋げたらどうなんだろう。
TETSU:そういうのもいいよね。
牧:トランプっぽいと言うか...。
TETSU:花札的な感じ。黒枠だしね。
佐藤:そういう組み合わせも、筆の流れが龍のように見えて面白いかも。
絵は複写されたんですよね。
そうすると、基本的には黒く締まりますが、その中で残るグレー部分の「滲み」というものに、みんながどう反応するのか興味がありました。
牧:私は黒が黒に出ることは好きだし、このトーンは見ていて気持ちいいです。
唇のメイクは、ミッキーやクローバーも連想させます。
TETSU:こういう作品制作や提案は、今後もやっていきたいよね。
佐藤:僕も続けたいと思っています。
作品撮りをすること、それを継続することは大事ですよね。
- ▲撮影中の佐藤さん。ライトはオパ1灯。カメラ:Phase one 645DF+IQ180 レンズ:80mm LS f/2.8、120mmHM f/5.6
MINA:このシリーズは、仕事ではあり得ないようなテーマ性と、色々な要素が組み合わさっていると思うんです。普段の仕事でイラストレーターの方と会うこともなかなかないですし。しかも日本髪がテーマのビューティって、まずないですよね。だからこそやっていきたい。
海外の雑誌を見ていると、向こうの人達の方が日本をモダンに見せる事が上手いんです。でも日本はやる場が少ない。もっと日本人が自分達の文化やビューティをテーマに発信していかなくてはいけないと思います。
TETSU:意識的には「世界に発信する」くらいの勢いでやっているからね。どこの国のエディターに見せてもカッコイイと言われる自信もあります。だからもっとこのシリーズで作品を作っていきたいよね。
展覧会もやった方がいいですよ。
- ▲座談会メンバー。左からTETSUさん、佐藤さん、MINAさん、牧さん。
JAPANESE HAIR BEAUTY SHOOTING 特集
佐藤博信/Hironobu Sato(Photographer)
1994年桑澤デザイン研究所でデザイン全般を学ぶ。フォトスタジオ、個人アシスタントの経験を経て、2002年独立。ファッション雑誌を中心にキャリアをスタートさせる。2012現在、雑誌、カタログ、広告、CDジャケット等で幅広く活躍中。
http://www.hironobusato.com
TETSU(Hair)
1967年 生まれ。
1992年渡仏、渡英。Eugene Souliemanのアシスタント経て1997年 帰国。国内外、媒体問わず活動。
SEKIKAWA OFFICE
http://sekikawa-office.com/
MINA(Make-up)
思春期を海外で過ごしメイクはロンドンで学ぶ。
クラシックからモードまで凛とした女性像を作ることに定評があり、女優やタレントからの指名も多い。現在は国内外の雑誌・広告など幅広く活動中。将来は「トータルビューティー」を目指し"オーガニック"をテーマに食生活やライフスタイルに取り込み最近では家庭菜園にもトライ。自身のブログではトータルビューティーな情報も日々更新中!
「SHOOTING」で連載コラム執筆中。
http://shooting-mag.jp/column/mina/
http://www.mina-make.com
牧 かほり(Illsutrator)
1969年生まれ。92年日本大学芸術学部卒業後、渡米。Art Student League of NY でファインアートを学び、94年帰国後フリーランスのイラストレーターになる。Mac cafe イメージビジュアル、そごう・西武百貨店 ウインドウディスプレイ、コムデギャルソン(A/W 2005) コレクションに参加する等、ブランドや企業とのコラボレーションを多数手がける。
http://www.k-maki.com/
Model:jun(Image Models)・秋元梢(LesPros)
- 2014.02.18Photographer 近藤泰夫
- 2014.02.05Event 『INFINITY VS. ~僕らとたった一人のモナ~』展
- 2014.01.30Photographer 太田好治
- 2014.01.16Photographer 小林伸幸
- 2014.01.09Photographer 蓮井幹生
- 2013.12.03photographer 栗林成城
- 2013.11.15Photographer 八木 規仁
- 2013.10.21photographer 秦 義之
- 2013.09.18Photographer 青木健二
- 2013.08.30Photographer 伊藤 之一
- 2013.08.27Photographer 薄井一議
- 2013.08.09Photographer 伊藤 之一
- 2013.08.07 DZ-TOP
- 2013.08.05Photographer 伊藤 之一
- 2013.06.28代表取締役/マネージャー・プロデューサー インタースタジオ 園江 淳
- 2013.06.20Photographer 渡邉 肇
- 2013.05.28 10TH ANNIVERSARY SPECIAL EXHIBITION「VISION」
- 2013.05.21Photographer 太田好治
- 2013.05.08Photographer 舞山 秀一
- 2013.05.07Photographer 舞山秀一
- 2013.05.01株式会社ピクトリコ 清藤禎樹
- 2013.03.27Photographer 大和田良
- 2013.02.08Photographer TAKAKI_KUMADA
- 2012.12.13photographer 鶴田直樹
- 2012.10.23 株式会社テール 千々松 政昭
- 2012.10.16photographer Alejandro Chaskielberg
- 2012.10.09photographer ND CHOW(アンディ・チャオ)
- 2012.07.08株式会社ライトアップ 横川哲哉
- 2012.06.22アートディレクター 梅沢篤
- 2012.06.06アートディレクター 千原徹也
- 2012.05.10特集 JAPANESE HAIR BEAUTY SHOOTING
- 2012.03.19Photographer 勅使河原城一
- 2012.01.10photographer 伊藤之一
- 2011.12.22DNPフォトルシオ 川口和之
- 2011.12.14特集 3D Hair Beauty Shooting
- 2011.12.05Photographer MICHAEL THOMPSON
- 2011.10.21特集 Love4 Skin Beauty
- 2011.10.03Photographer 宮地岩根
- 2011.09.20株式会社館岡事務所 佐藤佐江子
- 2011.09.07Creator Weiden+Kennedy Tokyo & DYSK
- 2011.08.26デジタルカメラマガジン編集長 川上義哉
- 2011.08.09イイノ・メディアプロ 増田昌大
- 2011.07.13photographer 上田義彦
- 2011.07.11プロフォト株式会社 河原克浩
- 2011.07.11株式会社スタジオD21 中田輝昭
- 2011.06.21Photographer 佐分利尚規
- 2011.06.21Photographer 富田眞光
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Profoto B1 Impression 近藤泰夫×Outdoor Cooking
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Event
『INFINITY VS. ~僕らとたった一人のモナ~』展東京・渋谷のパルコミュージアムで開催
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写真表現のこだわりの中で 中判デジタルカメラとレンズの 組み合わせは決まる。