石塚元太良写真展「GOLD RUSH ALASKA BONANZA TRAIL」が、Gallery 916smallで開催される。

「PIPELINE ALASKA」で、1280キロにわたる石油輸送のパイプラインを鮮やかに描いた石塚元太良氏が、歴史のページをめくるように、今展示では19世紀末のゴールドラッシュ時代の遺物を、極北の地に巡る。
「荒野での金掘り」というプリミティブなギャンブルを追体験するように、その100年以上前の人々の踏み跡を辿った新たなアラスカでのランドスケープの作品を展示。昨年のSLANT(金沢)での展示に続く「GOLD RUSH ALASKA」シリーズの第2弾となる。

「Gallery 916 small」は、916のメインスペース前に開廊したギャラリー。
一つの空間だった場所に壁をつくり、表を本棚に、裏にできたスペースが916smallとなっている。
ある意味、広すぎて、展示スペースとして敷居の高かった916だが、916smallは、若手作家の挑戦の場として利用してほしいそう。


アーティストステイトメント
19世紀末、アラスカでは、たくさんの金脈がその荒野のいたるところで発見され、金を求めて多数白人が大挙しました。それまで少数の原住民しか暮らしていなかった荒野の山々は、金脈を求める人たちに切り開かれ、その踏み跡が道になり、のちのトレイルになりました。 そのトレイルには、100年以上経った後でもゴールドラッシュ当時の痕跡が数々残されていて、今ではそれらゴールドラッシュの遺物は、森の静寂に同化するようにしてそこにあります。

人間が、何らかの形で自然から何かを得なくては、生きていけないのだとしたら、アラスカの歴史の中で金を掘り出したゴールドラッシュ時代とは、大きな転換期であったはずです。それまでは、ただ人々は鮭や、クジラやアザラシを捕まえて、ベリーの実をほおばりながら 厳かに暮らしていただけだったのに、あるときから人は口にすることのできないゴールドを求め山の中に分け入ったのです。時代を遡るように、それらゴールドラッシュの遺物を撮影することには、一体どんな意義や意味がこめられているだろうか? 少なくとも、100年という時間を遡行する新たな旅に出ることは可能であるだろう。パイプラインという現代の地層を一枚めくると、アラスカという土地には確実にゴールドラッシュという地層が目の前に立ち現れてくる。そんな眼でアラスカという土地を再度眺めると、旅慣れた土地が全く違った様相で迫ってくる。その旅は一体、どんな場所へ僕をつれていくのだろうか? 山の向こう、森の奥で、かつての強者たちの、かつての夢の跡形が、写真に撮影されることを待っているようなざわめき声がきこえるのだ。


石塚元太良
1977年生まれ。2004年「worldwidewarp」で日本写真協会新人賞受賞。おもな著書に「LENSMAN」(赤々舎)「氷河日記 グレイシャーベイ」 などがある。近年は、パイプライン、氷河、ゴールドラッシュなどをモチーフに、時事的なテーマに関する自のランドスケープを世界中で撮影している。2011年文化庁在外芸術家派遣員。2013年9月にはアイスランド、レイキャビック写真美術館で展覧会が予定されている。

展示会風景

展示会情報

Gallery 916
http://Gallery916.com

ギャラリー名
Gallery 916 small
住所
東京都港区海岸1-14-24
鈴江倉庫第3ビル 6F
開館時間
平日11:00-20:00 土・祝日 11:00-18:30  日・月休
入場料800円
アクセス
ゆりかもめ竹芝駅 徒歩2分