小林紀晴写真展「山人の記憶 ―kemonomichi/yabu―」が、八ヶ岳美術館で開催される。

各国を旅して作品発表を続けてきた小林さんは、近年自らの故郷である諏訪地域に、被写体として深いまなざしを向けている。
本展は、諏訪に古くから伝わる様々な祭りの場面を主な被写体とした新作「kemonomichi(けものみち)」を展示。
また、八ヶ岳周辺で撮影されたモノクロの新作「yabu」を初公開し、縄文の遥か昔から現在まで、この地に連綿と繋がる命の姿と土地の記憶を紹介する。


kemonomichi(けものみち)
新作「kemonomichi」は、全国にその名を知られる御柱祭など、諏訪の祭祀を主題とした作品群。祭祀の場面の間を縫うように、土偶、石鏃や、若かりし頃の祖父の写真、身近な人々の日常が挿入される。この地に連綿と続いてきた「人々の営み」の集成とも言えるこれらの作品は、自らの存在理由を訪ね歩く行為自体への深遠な問いかけなのかも知れない。今ここに自分が在ることの偶然性と必然性を同時に確かめるように、どこまでも広がり続ける「家系図の物語」が編まれていく。
写真集『KEMONOMICHI』に収録のカラー、モノクロ約40作品を展示。
  
yabu(藪)
八ヶ岳周辺の荒れ地や枯れ枝の折り重なる風景。いずれも冬枯れの時期に撮影された本シリーズは、モノクロームの細やかな階調で表現された影と光の静謐な世界が広がる。寒さの厳しい八ヶ岳山麓において、冬は生命が凍てついてしまったかのような、死を連想させる季節。剥き出しにされた木々の枝や立ち枯れの雑草は、骨を連想させるほどある種の厳しさをたたえるが、同時に生き物の無骨なまでの荒々しさも表わしている。
八ヶ岳山麓と原村で撮影された新作である「yabu」シリーズ約20点を初公開。
 
 
小林紀晴
1968年長野県茅野市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社勤務の後、アジア各国を旅し写真を撮る。1997年『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞受賞。2000-2002年渡米(N.Y)。雑誌、広告写真等に携わる一方、『homeland』『SUWA』『kemonomichi』などの写真集、『ASIAN JAPANEASE』『父の感触』『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』などのノンフィクション、『十七歳』『昨日みたバスに乗って』などの小説執筆など、写真と文章による活動は多岐にわたる。2013年「遠くから来た舟」で第22回林忠彦賞受賞。東京工芸大学芸術学部写真学科教授。

展示会風景


kemonomichi/けものみち(以下9点)


yabu(以下2点)

展示会情報

八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)
http://www.lcv.ne.jp/~yatsubi1/

ギャラリー名
八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)
住所
長野県諏訪郡原村17217-1611
開館時間
9:00~17:00(入館受付は午後4時30分まで)
アクセス
JR中央本線・富士見駅下車 タクシー15分